りんごとさつまいもの比率のこと
りんごとさつまいもとゆずがあったので、りんごとさつまいものレモン(ゆず)煮を作った。
レーズンと、ちょっぴりのバターを加えると、部屋じゅうに甘い匂いが満ちる。
材料がなかったけど、ラム酒とか白ワインとか、ピンクペッパーを入れてもいいかもしれない。
りんごとさつまいもをコトコトと甘く煮たこのおやつは、小さい頃母がよく作ってくれた。
レーズンやバターなんて入っていなくて、もっと素朴な味がした。
昔はさつまいもも、今みたいにやわらかくて蜜入りといった種類はなく、白くて水分がすくなく、ぼそぼそしていたように思う。
問題は、りんごとさつまいもの比率だ。
りんごはあまずっぱくて、やわらかくておいしい。
アップルパイの中身だけをひとりじめして、ぜいたくに食べているかんじだ。
くらべてさつまいもは、好きだけれどもたくさん食べると胸につかえる感じが苦手だった。
それに、なんとなく、さつまいもの分量のほうがおおいのだ。
注意ぶかく交互にたべても、いつもさつまいもだけが残った。
おさなごころに、さつまいものほうが安いのだろう、と考えた。
いもほり遠足でも、つるをひっぱると、かかえきれないほどとれた。
おなじことは、カレーでも起きる。
ご飯の分量と、ルーの調節がうまくいかない。
そんなとき、ひょうきんな友人は「ライスマネジメントがなっていない」などとと言う。
母に電話したついでに、りんごとさつまいものおやつは、なぜさつまいもの分量の方が多かったのか、尋ねてみた。
大人になってわかったけれど、りんごもそれほど高いものではなかったからだ。
「それはね、りんごがちぢんで小さくなったのよ」
こともなげには母は言った。